インシデントレポートの電子化による効果の検討

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  • Effects of introducing the electronic incident reporting system
  • インシデントレポート ノ デンシカ ニ ヨル コウカ ノ ケントウ

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抄録

目的: インシデントレポート (以下, 「レポート」と略す) は, 事象発生後多くをすみやかに収集することが望まれる. 順天堂医院では, 2008年6月に「紙面記入方式」から「画面入力方式」に変更し, 電子化された. この電子化前後におけるレポート提出状況の変化を明らかにすることを目的に検討を行った. 対象・方法: レポート作成方法の変更前3年間と変更後1年間における, 職種別, インシデントレベル別, それぞれのレポート提出状況を比較した. また, 提出者側の反応は, 質問紙調査で看護師213名から得た回答をもとに評価した. 結果: レポートの電子化前後の各1年間のレポート提出数は, 病院全体で21.5% (501件) 増加し, 提出数, 提出割合の高い看護師においては, 29.3% (481件) 増加していた. 病院全体と看護師それぞれのレポート提出数全体に対し, インシデントレベル0-1とそれ以外の提出割合は, ともに電子化前3年と比して, 電子化翌年は有意 (p=0.000) に増加していた. 質問紙調査では, 「使用方法がわかりやすかった」が165名 (77.5%), 「作成時間が短くなった」が126名 (59.2%) であり, 電子化によりレポート作成が容易になったことを示した. 結論: レポート作成の電子化は, インシデントレベル0-1の掘り起こしに有効であった. また, レポート記載が容易になり, 作成時間も短縮したと看護師には好評であった. レポート作成の電子化は, レポート提出数を増加させ, 事象発生のリスク軽減に結びつける目的達成のために有用であると考えられた.

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