ヒス束内ブロックの臨床的・電気生理学的, および病理組織学的検討

  • 住吉 正孝
    順天堂大学医学部内科学教室 循環器内科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical, Electrophysiological and Pathological Study in Patients with Intra-His Bundle Block

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説明

ヒス束内 (BH) ブロック61例について, 臨床的・電気生理学的に, A-HブロックH-Vブロックと比較検討を行い, さらに剖検4例につき病理組織学的検討を加えた. BHブロックの頻度は高度, および完全房室ブロック160例中61例 (38%) で, 高齢女性に多く認められた. 心電図上はA-Hブロックと同様心拍数も比較的保たれ, 正常QRS幅を示す例が多いにもかかわらず, 臨床的にはAdams-Stokes発作を伴いやすく, H-Vブロックに近い特徴を有すると考えられた. 運動および硫酸アトロピン負荷所見では, 負荷後の心室拍数増加が軽度で, A-Hブロックとの鑑別に有用であった. 電気生理学的検査からBHブロックでは, 洞機能不全の合併は少なく, 房室結節の伝導能もほとんどの例で正常であったが, 約1/3の症例でQRS幅の延長を認めることより脚の病変を合併している例が比較的多いと考えられた. しかし, ヒス束内縦解離に伴ったヒス束内伝導障害により, 脚ブロックをきたした希な例も存在した. また, BHブロックでは全例にペースメーカー植え込みを施行, 5年生存率83%, 10年生存率73%と予後は比較的良好であった. 病理組織学的検討では, ヒス束末梢から脚近位部にかけて病変を認め, 臨床経過とも含わせてBHブロックの病変は, ヒス束末梢から脚へ進行していく可能性が示唆された.

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