切除胃癌の肉眼型と遠隔成績に関する病理組織学的研究

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タイトル別名
  • Histopathological Study on the Relationship Between Macroscopical Findings and Prognosis of the Resected Gastric Cancer.-Evidence by histological study-
  • セツジョ イガン ノ ニクガンガタ ト エンカク セイセキ ニ カンスル ビョ

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抄録

胃癌は癌が粘膜内に止まる間は転移は殆んど起こらないが, 癌浸潤が粘膜下層, 固有筋層, 漿膜下層以下へと浸潤するにしたがってリンパ節転移は段階的に増加し, 予後も悪くなるのが普通である. しかし胃癌の肉眼形態上からある程度深達度診断に役立ち, かつ予後にも関係があることがわれわれの胃癌に対する一連の研究から判明した. 一方予後を支配する因子の一つに転移の問題が大きく関与しており外科における術中のリンパ節廓清の範囲を決定することは臨床上重要な問題である. この問題に関しては豊富な報告があるが, 未だ結論は出ていない. そこで著者は外科の立場から同程度の深達度であっても癌の肉眼形態によって組織学的およびリンパ節転移の有無, 程度などによってその予後に相違があり, リンパ節廓清の範囲を決定しうるかどうかを検討した. 対象は当教室で切除した症例のうち粘膜癌および検討に不適当な症例を除いた536例を用い, 肉眼形態より「早期型胃癌」と「ボルマン型胃癌」に2大別し, 組織学的検索, リンパ節転移および予後を分析, 検討した. その結果4.0cm2未満の胃癌では両者ともにリンパ節転移率は低率で, 予後も良好であり, 第2群リンパ節迄の廓清で十分である. 4.0cm2以上の胃癌では両者の間にリンパ節転移および予後の上に明らかな相違があり, 早期型胃癌では第2群リンパ節廓清を原則とし, ボルマン型胃癌では第3群リンパ節廓清が望ましいという結論を得た.

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