Model-based Drug Development (MBDD) の現況と展望

  • 今井 康彦
    BMSジャパン株式会社 トランスレーショナル・リサーチ部オペレーショナルエクセレンス室

書誌事項

タイトル別名
  • Current Performance and Future Perspectives on Model-Based Drug Development in Japan
  • Model-based Drug Development (MBDD)ノ ゲンキョウ ト テンボウ

この論文をさがす

説明

近年, ファーマコメトリックモデリング・シミュレーションが医薬品の臨床開発におけるあらゆる段階で重要な役割を担い, 母集団薬物動態解析 (PPK) および曝露反応モデル解析 (ER) 結果が本邦の医薬品承認申請のために提出されるほとんどの文書中に記載されてきている. 本稿では, 初めにランダム化を伴う治験で得られた臨床データベースにおけるPK曝露と有効性・安全性成績間にある因果関係を明らかにするためのERモデルについてその理論的背景を紹介し, PK曝露と臨床反応の関係に対する交絡因子の取り扱いについて考察を加える. 次に, 2つの重要な応用例を示す. ①ともに時系列変数である曝露および反応半数に対するGEEモデルと②ER関係の成人から小児患者集団の外挿の2つである. GEEモデルは推奨用量に対する信頼性の高い評価を与え, 臨床評価計画を最適化し, PPK/PD (pharmacodynamics : 薬力学) M&Sにより, 小児患者集団のベネフィット・リスク比を最大化することが可能となった. これら製薬企業が実施したM&S事例は, 企業内の開発部門のみでなく, 規制当局における意思決定にも重要な情報提供となったといえるであろう. さらに, 増々複雑化する臨床試験デザインに対処するために, 今後コピュラ回帰, 時系列階層ベイズや, バイオマーカー共変量の応用などが期待される.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ