暖地型牧草の無機栄養特性 : 第1報 数種暖地型牧草の窒素,りん,カリ含量の生育に伴なう変動とその草種間差違

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タイトル別名
  • Mineral Nutrition Characteristics of Warm-Season Grasses : I. Specific differences among several warmseason grasses in the variations of N, P and K content during growth period
  • 数種暖地型牧草の窒素,りん,カリ含量の生育に伴なう変動とその草種間差違
  • スウシュ ダンチガタ ボクソウ ノ チッソ , リン , カリ ガンリョウ ノ セイイク ニ トモナウ ヘンドウ ト ソノ ソウシュ カン サイ

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抄録

暖地型牧草の無機栄養特性を把握するための第一段階として同一環境条件下で圃場栽培したローズグラス(Ro),ダリスグラス(Da),バビアグラス(Ba),ブルーパニックグラス(Bp),およびオーチャードグラス(Or)の生育量,窒素,りん,加里含有率および含有量の生育に伴なう変動ならびにその種間差違を検討した。(1)一般に暖地型牧草の草丈と乾物重の増加は平均気温がそれぞれ20℃と25℃をこえると急速となったが,Orは平均気温が25℃をこえると草丈の伸長が停止し,乾物重の増加も鈍り,いわゆる夏枯れ現象が認められた。最大乾物重に達する時期はRo,Ba=Or=Bp,Daの順で,Roが出穂期に最大乾物重に達したのに対しBaとDaは出穂開始後の約1ケ月間も一定した速度で乾物重が増加した。最大乾物重はDa>Ro=Ba>Or=Bpの順であった。Bpは8月上旬より茎葉が黄白化し,土壌条件によると考えられる生育障害が認められ生育もきわめて不良であった。(2)窒素含有率は一般にどの草種も生育の進展につれ低下したが,生育末期に至るまで窒素含有率にはOr>Da=Ba=Bp>Roの種間差違が認められ,Roの窒素含有率はOrのほぼ半分であった。窒素含有量は一般に伸長期に急速に増加し最大含有量に達すると横ばいないし漸減の傾向を示した。各草種の最大窒素含有量はDa>Ro=Ba>Or>>Bpの順で,それに達する時期はDa,Ro OrがBa,Bpよりも約1ケ月早かった。(3)Ro,Ba,Daの三草種のりん含有率は一般に生育の進展につれ漸減したがBpは8月中旬に最高りん含有率を示し,Orは9月中旬以後りん含有率が急速に上昇した。最大乾物重に達するまでのりん含有率はBp>>Or>Ro>Da=Baの順でBpのりん含有率は他の暖地型牧草の2倍程度高かった。りん含有量は生育の進展につれ暖地型4草種が一般に山型の増減傾向を示すのに対しOrは台形型を示した。最大りん含有量はRo>Da>Ba=Bp>Orの順であったが,Roは特に伸長期のりん含有量の増加が著しく最大乾物重に達する前に最大りん含有量に達した。(4)暖地型4草種の加里含有率は一般に生育の進展につれ減少したが,Orは9月上旬まで漸減した後漸増した。DaとBpは特に生育に伴なう加里含有率の減少が著しかった。8月中旬までの各草種の加里含有率はOr>Da>Bp>Ba>Roの順であり,Bpを除く4草種間には実験期間中常にOr>Da>Ba>Roの差違が認められた。加里含有量の生育に伴なう変動の様式はDa=Ba,Ro=Or,Bpの間に差違が認められた。最大加里含有量はDa>>Ba>>Or=Ro>>Bpの順で,Daの加里含有量は伸長期に急速に増加し,その最大含有量は施与加里量を上廻り,Roの倍以上であった。以上の結果を各草種の窒素,りん,加里吸収特性による草種間差違として位置づけられるかどうか若干の考察を試みた。

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