夏季放牧にともなうミヤコザサ優占草地の遷移過程

書誌事項

タイトル別名
  • Successional Process in a Sasa nipponica Grassland through Summer Grazing by Beef Cattle
  • カキ ホウボク ニ トモナウ ミヤコザサ ユウセン ソウチ ノ センイ カテイ

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抄録

ミヤコザサが優占する野草地に黒毛和種繁殖牛を夏季放牧し,7年間にわたり草地植生の経年変化を調査した。毎年の植生調査で定置調査地点それぞれに優占種を決め,それをもってその場の植生状態を表した。試験期間中に裸地も含めて12種類の状態を識別し,それら状態間の推移確率を算出した。試験開始時には調査地点の50%でミヤコザサが優占種として出現し,その他の調査地点では,萌芽したコナラ,クリ,アズキナシ等の木本類およびヨモギ等の多年生草本類が優占種として認められた。識別された12の状態をマルコフ連鎖モデルによって表示した結果,供試草地の植生は数種類の経路を通ってコナラやクリの優占状態へ遷移すること,すなわち,当地の二次林植生へ回帰することが明らかにされた。状態間推移確率からミヤコザサ,草本類,低灌木類および高木類優占状態の経年的な出現頻度を推定した。これら推定値から,ミヤコザサ優占状態は放牧利用3年を経過すると激減すること,草本類優占状態は利用3年目まで漸増し,その後漸減へ転ずること,低灌木類優占状態は利用2年目までに急増し,その後は漸増にとどまること,高木類優占状態は供試期間中漸増を続けること,を明確に述べることができた。

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参考文献 (12)*注記

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