草原の緑回復過程における植生と土壌の変化 : 2.低地に分布する非塩類化草地および塩類化草地の場合

書誌事項

タイトル別名
  • A Change of Vegetation and Soil of the Desertified Grasslands on the Process of Recovery. 2. At the sites of non-saline meadow and saline meadow.
  • 沙漠化草原の緑回復過程における植生と土壌の変化(2)低地に分布する非塩類化草地および塩類化草地の場合
  • サバクカ ソウゲン ノ ミドリ カイフク カテイ ニ オケル ショクセイ ト ドジョウ ノ ヘンカ 2 テイチ ニ ブンプ スル ヒエンルイカ ソウチ オヨビ エンルイカ ソウチ ノ バアイ

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説明

中国内蒙古,赤峰市烏蘭敷都村のカルチン沙地における砂漠化した沙丘地(調査地NO.1)および緩平沙地(調査地NO.2)の回復過程に関する前報^4)に続いて,非塩類化低地および塩類化低地の退化草地において回復処理を実施した場合の植生と土壌との変化について調査を行った。これらの結果を述べるとともに,前報の成績を含めて植生と土壌との関係,土壌有機質とN.P.Kとの関係およびその蓄積と植生回復との関係,および沙漠化草地の回復過程の診断指標について考察した。1) 強放牧で退化した草地を保全的な兼用利用に変えて8年後の草地を,放牧を継続した退化草地,および多年兼用利用の非退化草地と比較した。8年間保全的に利用した草地は,退化草地に比べ優占種の交代はないが,群落の被度が高く,退化指標の種が少なく,若干良好であった。また,土壌の有機質,可給態Nが高く,pHが低く,やはり若干良好であった。このように8年間の保全的利用による回復では,植生,土壌とも,多年保全的に利用したレベルには届かなかった。植生と土壌とは同様の歩みをもって回復しているとみられた。2) 土壌が塩類化して退化した草地に対して石膏改良15年後の草地を,未改良の草地と比較した。石膏改良草地は,退化指標植物が減り,被度,草高,現存量が多いなど植生が改善された。土壌は有機質,可給態N,Pが高く,pHが低く,塩類濃度が減少するなど,顕著に改良された。このように塩類化退化草地の石膏処理は,劣化した土壌とともに退化した植生を回復させた。3) 前報の2調査地(NO.1,2)の結果を含め4調査地を総合して考察し以下のことを指摘した。沙漠化した土地の回復過程において,植生の回復と劣化土壌の修復とは同様の歩みで進行している。土壌有機質はN,Pの養分量と密接な関係があり,肥沃度向上に重要な働きがある。さらに,有機質の生成にかかわるリターおよび植物繁茂の重要性が指摘され,植生の発達と土壌肥沃度の向上とが相互に依存しながら回復が進行すると考えられた。沙漠化草地の回復段階の指標には優占種の生活型,生育型だけでなく,被度,草高,一年生・多年生の種数などの群落側度や退化指標植物の存否などを指標に加えると有効であると指摘された。

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