暖地型イネ科牧草の物理・化学処理による栄養価値改善 : 2.水酸化ナトリウム浸漬処理が化学成分及び乾物消化率に及ぼす影響

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  • Improvement of Nutritive Value of Tropical Grasses by Physical or Chemical Treatment : 2. Effect of wet treatment with sodium hydroxide on chemical composition and dry matter digestibility
  • ダンチガタ イネカ ボクソウ ノ ブツリ カガク ショリ ニ ヨル エイヨウ

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抄録

成熟暖地型イネ科牧草ギニアグラス,グリーンパニック及びローズグラスを用い,水酸化ナトリウム浸漬処理がin vitro乾物消化率に及ぼす影響について,リグニン及びケイ酸との関連で追究した。水酸化ナトリウム浸漬処理は,0.75%及び1.50%NaOH溶液を用い,試料乾物重の4.5%及び9.0%のNaOHを添加し20℃・24時間で行い,処理後,処理試料水洗液のpHが9以下になるよう調整した。In vitro乾物消化率は山羊第一胃液とペプシンによる培養で測定した。得られた結果は次のとおりである。アセチルブロマイドリグニン(ABL)含量は,4.5%処理では若干増加する傾向を示したが,9.0%処理の場合全般的には若干低下する傾向が認められた。ケイ酸含量は,いずれの処理でも著しく低下し,4.5%処理より9.0%処理で低い値を示した。In vitro乾物消化率は,4.5%処理では全般的には若干増加する傾向を示したが,9.0%処理の場合にはいずれの試料でも有意に増加した。ABL消化率は,4.5%処理では若干増加する傾向を示し,9.0%処理の場合には全般的に増加した。乾物消化率の増加とリグニン及びケイ酸の変動との関係を回帰分析により検討した結果,乾物消化率の増加については,4.5%処理の場合ケイ酸含量低下との関連が示され,9.0%処理では,ABL含量低下,ケイ酸含量低下及びABL消化率増加との関連が,それぞれ認められた。乾物回収率は,いずれの処理でも低下し,4.5%処理より9.0%処理で低い値を示した。しかし,可消化乾物回収率は,4.5%処理の場合すべての試料で低下したのに対し,9.0%処理では8試料中5試料で低下が認められなかった。以上の結果から,暖地型イネ科牧草の栄養価値改善に用いる水酸化ナトリウム浸漬処理としては,4.5%処理より9.0%処理が望ましいと考えられた。

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