国内育成オーチャードグラス(Dactylis glomerata L.)品種間に見られるミネラル含有率の差異

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タイトル別名
  • Variation in the Mineral Elements Concentrations among Cultivars of Orchardgrass (Dactylis glomerata L.)
  • 国内育成オーチャードグラス(Dactylis glomerata L.)品種間に見られるミネラル含有率の差異〔英文〕
  • コクナイ イクセイ オーチャードグラス Dactylis glomerata

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抄録

オーチャードグラスは我が国の主要イネ科牧草であるが,オーチャードグラス主体草地に放牧中の反芻家畜がグラステタニーにかかることがある。オーチャードグラス品種間にミネラルの含有率の大きな差異があれば,農家は品種の選定によりグラステタニー症等ミネラルの代謝異常発生の危険性を低下させることができる。本試験は,国内育成オーチャードグラス4品種間の比較を行うことを目的に,ペレニアルライグラス,トールフェスク各1品種と共に,めん羊の放牧条件下で年間13回,3年間にわたる試料採取を行い,ミネラル含有率の分析を行なったものである。オーチャードグラス4品種に比較して,ペレニアルライグラスのヤツガネはP, Caの各含有率及びCa/P比が高くK/(Ca+Mg)当量比が低く,トールフェスクのホクリョウはMg及びCa/P比が高くK及びK/(Ca+Mg)比が低かった。オーチャードグラス品種間ではN, P, Ca, M及びK/(Ca+Mg)比で有意差が認められ,K及びCa/P比では認められなかった。オカミドリは他の3品種に比較して全般的にミネラル含有率が高く,特にCaとMgの高いことがK/(Ca+Mg)比を低下させた。オカミドリはアキミドリに比較してCa及びMg含有率はそれぞれ0.043及び0.047ポイント高く, K/(Ca+Mg)比は0.34低かった。ほとんどのミネラル成分が春に低く夏から秋にかけて高い季節的変化をしたことにより,成分間にはPとKの間を除き全て有意な正の相関関係が認められた。収量とK/(Ca+Mg)比の間には相関は認められなかったが,ミネラル含量で望ましい特性を持つオカミドリが,オーチャードグラス品種中最も低収(前報)であった。オカミドリはグラステタニーの危険性を低下させる品種育成のための育種材料として有望である。

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