乾草調製にともなう牧草の脂質画分および脂肪酸組成の変化

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  • Changes in Grass Lipid Fractions and Fatty Acid Composition Attributed to Hay Making
  • Changes in Grass Lipid Fractions and Fa

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抄録

牧草脂質の第一胃内における発酵・分解の抑制効果を検討するための基礎研究として,牧草を乾草に調製することにともなう脂質画分の変化ならびに各脂質画分の脂肪酸組成の変化を検討した。オーチャードグラス単播一番草を生草試料とし,同一生草を天日乾燥したものを乾草試料とし,それぞれの脂質画分および脂肪酸組成の分析に用いた。脂肪酸分析は,クロロホルム-メタノール(2:1,v/v)によって抽出した全脂質を薄層クロマトグラフィーにより展開分離し,遊離脂肪酸(FFA),トリグリセライド(TG),ステロールエステル(SE)および極性脂質(PL)の4区分に分両し,得られた画分についてガスクロマトグラフィーにより各構成脂肪酸を定量した。生草と乾草の脂質画分は,モル量およびモル比ともに乾草でPL画分が減少し,これに対応してFFA画分か増加することが示された。全脂質の全脂肪酸量と各脂肪酸量(特に不飽和脂肪酸)ならびにそれらのモル比は乾草で減少する傾向があったが,それらの変化は小さかった。各画分の脂肪酸組成の変化は,PL画分を除いてリノレン酸の増加傾向があり,特にFFA画分の場合はリノール酸およびリノレン酸の増加傾向が大きかった。以上の結果から生草を乾草にする過程で極性脂質画分から遊離脂肪酸への分解が示唆され,遊離脂肪酸の中では長鎖不飽和脂肪酸の増加が認められた。

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