放牧と禁牧条件下におけるネザサ(Pleioblastus chino var.viridis)の物質生産

  • 大久保 忠旦
    岐阜大学流域環境センター:(現)那須大学都市経済学部
  • 渡辺 也恭
    岐阜大学流域環境センター:(現)姫路工業大学自然・環境科学研究所田園生態保全管理研究部門
  • 板野 志郎
    岐阜大学流域環境センター:岐阜大学農学部附属農場

書誌事項

タイトル別名
  • Matter Production of Pleioblastus chino var.viridis under Grazed and Ungrazed Conditions
  • ホウボク ト キンボクジョウケン カ ニ オケル ネザサ Pleioblastus chino var viridis ノ ブッシツ セイサン

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抄録

放牧条件下でのネザサの優占度維持機構の解明を目的として, ネザサ群落に放牧区と禁牧区を設置し, 両区でのネザサの器官別構成割合および年間純生産量について調査を行った。放牧期間中における放牧区の葉の成長量と被食量は, 葉の現存量と葉部生長速度との関係式を用いて推定された。放牧区のネザサの各器官の構成割合は, 禁牧区と比較して地下茎部が高く, 地上茎部で低かった。一方, 葉部の構成割合は, 放牧期間中両区でほとんど変わらなかった。ネザサの年間純生産量は放牧区と禁牧区でそれぞれ670gDM/m^2および647gDM/m^2と推定された。放牧条件下での地下茎部の構成割合の増加は, 家畜による被食後の葉部の再生に対して, 芽と貯蔵物質の確保という2つの面で有利と推察される。地上茎部の構成割合の減少を伴う地下茎部の構成割合の増加によって, 放牧期間中, 活発な葉生産が可能となり純生産量が増加したと考えられる。また, この高い純生産量の維持により, ネザサの優占度維持が放牧条件下で長年に亘って可能になったと判断される。

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参考文献 (14)*注記

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