黒毛和種雌牛の育成期における栄養の違いが発育および繁殖に及ぼす影響 : I.育成時の発育および繁殖成績

書誌事項

タイトル別名
  • The Effect of the Quantitative Difference in Nutrition during Rearing on the Growth and Reproduction of Female Japanese Black Cattle : I. Growth and reproduction during raising period
  • 黒毛和種雌牛の育成期における栄養の違いが発育および繁殖に及ぼす影響-1-育成時の発育および繁殖成績
  • クロゲワシュ メウシ ノ イクセイキ ニ オケル エイヨウ ノ チガイ ガ ハ

この論文をさがす

抄録

育成時の栄養の違いが雌牛としての生涯生産性に与える影響を明らかにする目的で本試験を行った。放牧期(1年次)は濃厚飼料を日量1.5kg給与(H区)と無給与(L区)とに区分した。冬期は谷合地を利用し,無畜舎屋外放飼条件下で育成し,日本飼養標準(1970年版)のTDN要求量に対して区分した。すなわち,放牧期のH区は冬期も高栄養をつづけてH・H区(110%)とし,L区は冬期にL・H区(110%)とL・L区(90%)の2群に区別した。その後,再放牧時(2年次)はいずれの区も濃厚飼料無給与で輪換放牧を行った。初産分娩までの発育及び繁殖成績について次の結果が得られた。1)1年次の放牧期の養分摂取状況はH区がすぐれた傾向を示し,この差は主として放牧初期5〜6月にかけて認められた。再放牧時はL・L区がH・H区より優れた摂取傾向を示し,また,L・L区の再放牧時におけるTDN充足率(日本飼養標準1975年版に対する)は1年次の放牧時より有意に高い割合を示した(P<0.01)。2)1年次の放牧期間中の発育はH区がL区より優れ(P<0.05),冬期はL・H区がH・HおよびL・L区を上回る傾向が得られた。一方,L・L区の発育は冬期に著しく遅延したが,翌春,再放牧することによって顕著な代償性発育を示した。3)1年次の放牧期間中の1日増本量はTDNおよびDCP摂取量と関連が深く,重相関係数は0.761(P<0.01),寄与率58.0%であった。4)初回授精月齢はH・H区16.0,L・H区16.6,L・L区18.6か月齢で,受胎月齢はH・H,L・HおよびL・L区,それぞれ17.4,17.8,21.2か月齢であった。L・L区は冬期に繁殖障害牛が4/7頭発生し,H・HおよびL・H区に比べて初回授精月齢および受胎月齢とも劣った。これらのことから育成期間中の養分摂取量の違いは発育および繁殖状況に大きく影響していることが判明した。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ