中国半乾燥地域における退化草原の持続的な改良 : 1.保水剤としてのめん羊糞粒の評価

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  • Low Input Improvement of Degraded Grassland in Semiarid Area of China : 1. Evaluation of sheep dung as a water retention agent
  • Low Input Improvement of Degraded Grass

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抄録

筆者らは,中国内蒙古の退化草原への牧草導入技術として,他からの技術支援を必要としないめん羊の牧草種子の排出による方法の確立を目指している。本報では,めん羊から排出された種子の発芽に影響する要因とめん羊糞粒の保水剤としての評価についての実験結果を述べる。1.めん羊から排出された種子の発芽に影響する要因アルファルファ種子200gを摂取させた2頭のめん羊を36時間放牧したところ,耕起によって表層土壌が膨軟であれば,めん羊の踏圧によって排出糞粒の45%が土壌で覆われ,さらに22%は完全に土中に埋没していた。また,全糞粒の79%から87%に平均2粒の種子の混入がみられた。播種2か月後に,518個体/100m^2の生育がみられたが,いずれも土中に埋没した糞粒からの出現であった。2.保水剤としてのめん羊糞粒の評価糞粒中に含まれる種子の体積水分率は,糞粒の体積水分率が18%から22%の範囲内で有意な正の相関関係が認められた。糞粒が保持している水分が速やかに種子まで届くことが明らかとなった。土壌と土壌に埋めた糞粒の含水率は,埋設後12時間で急速に変化し,糞粒の含水率が土壌に近付いていった。糞粒よりも土壌の含水率が高い場合には,糞粒は初期の含水量の約2.2倍まで吸水し,吸水後は数日間その含水量を維持した。

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