草地内樹木が暖地での寒地型牧草の空間分布に及ぼす影響および分布の草種間差違

  • 福田 栄紀
    近畿中国四国農業研究センター:(現)東北農業研究センター
  • 井出 保行
    近畿中国四国農業研究センター:(現)畜産草地研究所
  • 高橋 佳孝
    近畿中国四国農業研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Influence of Grassland Trees on the Survival and Spatial Distribution of Cool-temperate Forage Plants in a Warm South-West Region of Japan
  • ソウチナイ ジュモク ガ ダンチ デノ カンチガタ ボクソウ ノ クウカン ブンプ ニ オヨボス エイキョウ オヨビ ブンプ ノ ソウシュカン サイ

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抄録

暖地の草地において,樹木が樹冠下の微気象に及ぼす影響,およびその影響を通じて寒地型牧草の空間分布に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。寒地型牧草導入後25年以上が経過したシバ優占放牧草地において夏の樹冠内外における微気象環境を測定した。また,同放牧草地と牧草導入の経緯がないチガヤ優占刈取り草地の双方において寒地型牧草の分布と樹冠との位置関係をベルトトランセクト法により調査した。樹冠内の草地地表面付近は樹冠外のそれより冷涼湿潤であった。両草地に共通して出現した草種は,その双方でほぼ同じ分布様式を示した。即ち,トールフェスク,オーチャードグラス,ケンタッキーブルーグラスは,樹冠外より樹冠内に有意に多頻度に出現し,イタリアンライグラスは有意ではないが,樹冠内に多く出現する傾向を示した。逆に,レッドトップとアカクローバは樹冠外に有意に多頻度に出現した。一方,シロクローバは樹冠内外で出現頻度に大きな差はなかった。分布における樹冠依存性の高低に基づき寒地型牧草種を上記の4つの類型に区分できた。樹木はその暑熱乾燥ストレス緩和効果を通して暖地における寒地型牧草の分布に影響を及ぼすこと,その影響は草種により異なることが明らかとなった。

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参考文献 (27)*注記

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