北海道内に自生するマタタビ属 3 種の分布,倍数性,果実特性評価

  • 朝倉 一星
    北海道大学大学院環境科学院
  • 星野 洋一郎
    北海道大学大学院環境科学院 北海道大学北方生物圏フィールド科学センター

書誌事項

タイトル別名
  • Distribution, Ploidy Levels, and Fruit Characteristics of Three <i>Actinidia</i> Species Native to Hokkaido, Japan
  • Distribution, Ploidy Levels, and Fruit Characteristics of Three Actinidia Species Native to Hokkaido, Japan

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抄録

マタタビ科マタタビ属(Actinidia)は世界中で広く販売されているキウイフルーツを含む,園芸上重要な属である.本研究では,北海道内に自生するマタタビ属植物 3 種,サルナシ(A. arguta),ミヤママタタビ(A. kolomikta),マタタビ(A. polygama)に関して,野外調査を行い,野生個体群の分布,倍数性,果実の特性を評価した.サルナシとミヤママタタビは個体数が多く,分布域もほぼ重なっていたが,マタタビはやや個体数が少なく,主に低地の落葉樹林に分布していた.フローサイトメトリーによる解析の結果,道内で採取したミヤママタタビおよびマタタビの倍数性は全て二倍体,サルナシは全て四倍体で,種内での倍数性変異は見られなかった.果実形態は,サルナシで円~楕円形,ミヤママタタビで楕円~長楕円形,マタタビで長楕円形と変異が見られた.果皮は無毛で,マタタビでオレンジ色,ミヤママタタビで緑~暗緑色,サルナシで明緑色~暗緑色だった.果実重は,ミヤママタタビでサルナシより小形だった.可溶性固形物含量(SSC)は種内で大きな変異が見られ,サルナシ 1 系統で,非常に高い SSC(30.8%)を示した.アスコルビン酸含量(AAC)はミヤママタタビで高く,最高で 805 mg/100 g FW に達するものも見られた.これら一部のサルナシおよびミヤママタタビ系統は,冷涼な地域でも栽培可能なキウイフルーツ品種用の育種素材として有望と考えられた.

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参考文献 (28)*注記

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