受動的BOPビジネスから能動的BOPビジネスへ : 住友化学の事例をもとに

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  • From Responsive BOP Business to Proactive BOP Business : A Case Study of Sumitomo Chemical
  • ジュドウテキ BOP ビジネス カラ ノウドウテキ BOP ビジネス エ : スミトモ カガク ノ ジレイ オ モト ニ

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抄録

BOPビジネスの核心は「ビジネスを通じて、貧困問題を緩和する」ことである。つまり社会性と経済性の融合が望まれている。本稿では、パート1において以下の2点を論じる。第1点は、BOP層の社会ニーズの分布を紹介し、このニーズを満たす企業行為が二種類に分けられることを指摘する。一つは企業がさまざまなステークホルダーの声に対処し、周辺事業として行う受動的BOPビジネスである。もう一つは企業がBOP層のペナルティを内部化し、本業に結びつける能動的BOPビジネスである。第2点は、BOP層における企業活動は、受動的BOPビジネスから一歩踏み出し、能動的BOPビジネスへと変換していく潜在的可能性が存在していることである。パート2において、住友化学のオリセットネット事業の事例を考察し、住友化学は1960年代からマラリア撲滅活動に取り組むなかで、現在まで三段階のビジネスプロセス(受動的BOPビジネス→能動的BOPビジネスのBOPバージョン1.0→能動的BOPビジネスのBOPバージョン2.0)、三種類のビジネスモデル(支援型→市場主導型→生産主導型)の転換を経てきたことを明示する。さらに、各BOPビジネスモデルの転換のキーファクターが何かを考える。最後に住友化学の事例をもとに、能動的BOPビジネスにより「共通価値」が生まれる可能性を論じる。

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