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- 池上 重輔
- 早稲田大学
書誌事項
- タイトル別名
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- Applying Blue Ocean Strategy to the "Volume Zone" of Emerging Markets
- シンコウコク シジョウ ノ ボリュームゾーン コウリャク ト ブルー オーシャン センリャク
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抄録
近年、日本と日本企業の国際競争力の低下が指摘され、日本企業の成長戦略と国際戦略の再構築が望まれている。本稿は、以下の2点を議論する。1点目は、日本企業のグローバル展開において、新興国市場ボリュームゾーンと言われるマス市場の獲得に早急にコミットすることが、中長期の成功に必要であること。2点目は、その新興国市場ボリュームゾーン攻略の新たな戦略フレームワークとして、ブルー・オーシャン戦略が有望と思われることである。グローバル市場が成長する中、多くの日本企業が、新興市場(特に東アジア圏)の比較的ハイエンド層に注力して売上と利益を伸ばしてきた。本稿において、新興市場の中でも「ボリュームゾーン」開拓を早期に本格化する必要性を主張する理由は3点ある。1点目は、そもそものボリュームゾーンの大きさゆえであり、2点目は、新興市場内でこのボリュームゾーンをおさえた新興国の企業が次第に力をつけ、ハイエンド層における日本企業のシェアを奪う可能性があると思われるからである。3点目は、それを放っておくと、これらの新興国企業が格段のコスト競争力を維持しつつ、先進国に参入してくる潜在的な可能性もあるからである。これまで、日本企業の国際競争力の源泉は、オペレーショナル・エクセレンスに支えられた「ものづくり力」と言われてきた。今後、日本の国際競争力を再強化するには、「ものづくり力」の定義をさらに広く見直すことと、戦略構想能力の強化の2点が必要と思われる。本稿では、新興国市場ボリュームゾーン攻略に向けての、戦略構想能力の強化を中心に議論し、その際の理論的フレームワークとして、ブルー・オーシャン戦略の有効性について検討する。まず、既存の主要戦略フレームワークとして、ポジショニング戦略、リソース・ベースト・ビュー、ダイヤモンド・フレームワーク、イノベーションのジレンマを検討し、新興国市場ボリュームゾーン攻略に必要な戦略の要件を抽出する。つぎに、その要件を比較的満たし得る戦略フレームワークとしてブルー・オーシャン戦略を検討する。最後に、日本企業がボリュームゾーンで成功した事例として日系大手素材企業A社の事例を紹介し、ブルー・オーシャン戦略の有効性を議論する。
収録刊行物
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- 国際ビジネス研究
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国際ビジネス研究 3 (1), 1-18, 2011
国際ビジネス研究学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680739512064
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- NII論文ID
- 110008897660
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- NII書誌ID
- AA12402856
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- ISSN
- 21895694
- 18835074
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- NDL書誌ID
- 11146095
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDL
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可