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- 甲田 直美
- 東北大学
書誌事項
- タイトル別名
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- Using Reported Thought and Speech to Enhance a Story
- カタリ ノ タッセイ ニ オケル シコウ ・ ハツワ ノ テイジ
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説明
本稿では,思考・発話を提示することが相互行為としての語りの達成にどのように関わるか考察した.語りのクライマックスに思考・発話を提示することが臨場感をもたらし,受け手の反応を呼び,語りの達成へ導いていた.語りは語り手と受け手が協働して達成するものであり,語り手による一方的な構成物ではない.語りの達成に提携するためには,受け手は,語りがクライマックスに達し,語りが終結に向かう箇所を正しく捉える必要がある.会話における語りの中で,クライマックスを顕在化するために,思考・発話の提示という装置がどのように用いられているかを考察した.引用された思考・発話の持つ表現の直接性や補文内容の描写のきめの細かさ等の言語的特徴に加え,ピッチの切り替え,発話速度等の音声特徴,身体動作まで含めたマルチモーダルな要素によって顕在化は行われていた.これらの語り方のデザイン特性によって,思考・発話の提示は,語られた内容の再現性を高め,語り部分の受け手が情報に直接アクセスできる環境を提供する.思考・発話を語りのクライマックスに配置するというプラクティス,語り手と受け手が当時の現場を共有し,語りを協働で終結へ導く一つの手続きを示した.
収録刊行物
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- 社会言語科学
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社会言語科学 17 (2), 24-39, 2015
社会言語科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680749202304
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- NII論文ID
- 110009970779
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- NII書誌ID
- AA11510423
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- ISSN
- 21897239
- 13443909
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- NDL書誌ID
- 026550382
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- JaLC
- NDLサーチ
- CiNii Articles
- KAKEN
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可