手話会話に対するマルチモーダル分析 : 手話三人会話の二つの事例分析から

書誌事項

タイトル別名
  • Multimodal Analysis for Sign Language Conversation : From Two Case Studies on Three Party Conversations
  • シュワ カイワ ニ タイスル マルチモーダル ブンセキ シュワ 3ニン カイワ ノ フタツ ノ ジレイ ブンセキ カラ

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抄録

本研究は,手話を言語として社会に認知させようとする「言語中心的な手話研究から」,手話が日常場面でどのように用いられているかに焦点を当てた「コミュニケーション論的な手話研究」へのパラダイムシフトを試みるものである.本論文では,ろう者に対する言語教育や社会福祉的な問題は議論せず,手話会話とは一体どういったものであるかを明示する.また,ジェスチャー研究のジェスチャー単位の考え方と会話分析のトランスクリプションの考え方を融合させ,手話会話に含まれる視覚的な情報を書き起こす手法を紹介する.この手法を用いることにより,例えば従来観察することが難しかった手話の動きの生成と表情や口の動きの生成のタイミング分析や(ジェスチャー研究の視点),手話の動きの生成開始点を含んだ手話会話のオーバーラップ分析など(会話分析の視点)が可能になると予想される.本論文では,詳細な会話資料のトランスクリプションとアノテーションの方法を説明したのち,順番交替と発話の重複に関わる二つの事例分析を紹介し,手話会話に対するマルチモーダル分析の有用性について議論する.本研究の試みが徐々に世の中に広まることで,日本社会全体の手話に対する理解が深まり,手話を知る・ろう者を知る機会が増えることを期待している.

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