思想小説としての『上海』

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タイトル別名
  • Shanghai as a Thought Novel
  • シソウ ショウセツ トシテノ シャンハイ

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抄録

『上海』は、精神に対して物体を根底におき、物体の論理を重視する唯物論的「物理主義」を打ち出した思想小説である。この主義は主人公の思想・性格のみならず、どの人物の根底にもあり、さらに社会把握、風景の役割、群衆の物体としての性格と、作品全体に染み込んでいる。そして、主人公の、物体をめぐる精神のありようを中心に作品は展開し、主人公は現実と精神を結ぶ軸を喪失したニヒリストとして描き出されている。

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 40 (1), 67-78, 1991

    日本文学協会

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