伊藤比呂美論(上) : 『テリトリー論**』

書誌事項

タイトル別名
  • A Study of Ito Hiromi (Part I) : Territory Ron **
  • イトウヒ ロミロン ウエ テリトリーロン

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抄録

伊藤比呂美『テリトリー論**』は、<視欲>とも言うべきリアルな視線に支えられた散文スタイルにおいて際立っているが、そこには詩の領域を散文化の前で保持できない危機も待ち受ける。伊藤はその危機を他者の声をテクストに導き入れることによって克服しようとする。他者を食らい他者に食らわれる関係の設定が欲望を純正なものに高めてゆく。欲望と欲望が対等にぶつかりあい、心性を呪縛する物語や制度を転倒させた「カノコ殺し」はその代表的なこころみである。

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 38 (12), 24-35, 1989

    日本文学協会

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