枕草子「御乳母の大輔の命婦」の段の表現構造 : 末尾の一文と「あはれ」の位相をめぐって

書誌事項

タイトル別名
  • The Structure of Expression in the Episode of "Onuba no Taifu no Myobu" in Makuranososhi : Thoughts on the Last Sentence and the Topology of "Aware"
  • マクラノソウシ オン ウバ ノ タイフ ノ ミョウブ ノ ダン ノ ヒョウゲン

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抄録

三巻本の章段配列では、定子の和歌を核とした歌語り的章段群に含まれる「御乳母の大輔の命婦」の段は、従来、定子晩年の悲境を史実的背景として、定子に対する悲哀感を基調として構想・執筆された章段として扱われることが多かった。本稿では、一段読みの立場からこの段の分析を試み、定子に対する評語としては異例の「あはれ」が、本来は悲境への同情ではなく、一種の讃美表現としてあること、また、末尾の一文が付されることによって体験時の意味と執筆時の意味とのずれ、重層的な意味がこの段にもれらされるに至る過程を考察した。

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 42 (6), 1-9, 1993

    日本文学協会

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