「親類の女房」攷 : 乳母に比肩する女房

書誌事項

タイトル別名
  • An Essay on "Shinrui-no-nyobo" : The Role of "Nyobo" in Middle Ages Literature
  • シンルイ ノ ニョウボウ コウ ウバ ニ ヒケン スル ニョウボウ

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説明

拙著『平安朝の乳母達』(世界思想社)において、雑多な女房の中から乳母を区別することによって、乳母の重要性を浮き彫りにすることができた。その過程で、乳母に匹敵する重要な女房として、親類の女房の存在が浮上してきたのである。そこで本稿では、『源氏物語』を中心として、乳母の場合と同様に、女房の中から親類の女房を抽出・区別することで、その存在の重要性を指摘してみた。親類の女房としては、宰相の君(夕顔の従姉妹)・大弐の北の方(末摘花の叔母)・少将の君(落葉宮の従姉妹)・中将の君(八の宮の北の方の姪)・宮の君(明石中宮の従姉妹)などが登場している。また末摘花の物語で活躍する大輔の命婦や、宇治十帖で重要な役割を果たしている弁の君は、親類であると同時に乳母ともかかわっており(乳母子)、父方・母方の二重構造が物語展開の契機(男女の仲介)ともなっているのである。親類の女房という設定は、物語のみならず史実においても重要であるので、親類であることが明記されている場合は、その意義について十分注意を払うべきであろう。

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 49 (3), 57-67, 2000

    日本文学協会

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