媒介者の使命 : 中上健次『熊野集』「葺き籠り」

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タイトル別名
  • Fiction, Language, and Cultural Negotiations : Kenji Nakagami's Short Story "Fukikomori"
  • バイカイシャ ノ シメイ ナカ ガミケンジ クマノシュウ フキ コモリ

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抄録

中上健次の短編連作集『熊野集』の中の一篇、小説「葺き籠り」は、被差別部落、路地の解体を戦後日本社会の多くの後進地域で体験された普遍的な経験として主題化し、その主因の一つである交通と交換の問題を全面的に展開している。事後的に見れば、被差別部落、路地の解体とは、遍在化する権力の構成的布置の下での差別・被差別の境界線の引き直しとその構造の再編成と捉えられるが、本稿では、二者・二所を選ぶ媒介者と交換行為に着目して「葺き籠り」を分析し、遍在化する権力に包摂されながらもなしえる抵抗の可能性を考察したい。

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 55 (2), 28-39, 2006

    日本文学協会

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