『ごんぎつね』をどう読むか(<特集>これからの文学教育の地平)

書誌事項

タイトル別名
  • Another Reading of Gon-gitsune(<Special Issue>The Perspective of Teaching Literature)
  • 『ごんぎつね』をどう読むか
  • ゴンギツネ オ ドウ ヨム カ

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抄録

田中実は『ごんぎつね』を「他者化されない永遠の夢」と評している。確かに本編は村落共同体の物語という閉じた構造の中で語られ、ごんと兵十は互いが互いの心の鏡として機能する「分身」の関係にある。しかし、分身の織りなす夢が自閉的とは限らない。兵十の母親の死に始まるこのドラマは、身近な愛の対象を喪失した者が、死を受容し、孤独の呪縛から解き放たれて、個を超えた愛のスタイルを模索検証し、共生へと聞かれていく姿を描きだしている。五節と六節の間に横たわる「空白」を読み解き、私自身の感動の根拠を提示したい。

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 53 (8), 30-40, 2004

    日本文学協会

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