他者に向けて教室を開く : 『山月記』 袁[サン]を可視化する志向(<特集>第64回日本文学協会大会国語教育の部(第一日目) <文脈>を掘り起こして-文学教育の挑戦-)

書誌事項

タイトル別名
  • To Make Students Open Their Hearts to Others : Focusing on the Role of Ensan in Sangetsu-ki(<Special Issue>The 64th JLA Conference (1st Day): Unearthing the Contexts: An Adventurous Attempt of Literary Education)
  • 他者に向けて教室を開く--『山月記』袁[サン]を可視化する志向
  • タシャ ニ ムケテ キョウシツ オ ヒラク サンゲツキ エン サン オ カシカ スル シコウ

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抄録

生徒にとって他者性の欠如が大きな問題である今、彼らは、李徴にとって声だけで自分の存在を認めてくれた袁[サン]の存在の大きさを読んだ。ここに『山月記』の現代的意味と、この小説の読みを新たに拓く文脈が掘り起こされていく。鋭い自己分析の後も、自嘲に戻ってしまうあの李徴の自意識が、袁[サン]のために自身の姿をさらけ出す所へと変化を遂げていくのである。<(虎に還る)>と語り手が注記する部分の「還る」の文字の使い方、<自分><おれ><自分>の自称の変化から、『山月記』のモチーフとして、不条理な「死」への恐怖を李徴が述べる場面に戻ろうとする指向性も読み取れる。

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 59 (3), 2-15, 2010

    日本文学協会

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