ニュージーランドの厳罰的ポピュリズムとその影響について (課題研究 グローバル化する厳罰化ポピュリズムとその対策)

書誌事項

タイトル別名
  • Penal populism in New Zealand and its future (Symposium: Globalized Penal Populism and its Countermeasures)
  • Penal populism in New Zealand and its future: is penal populism inevitable?
  • 厳罰的ポピュリズムは回避不可能であるか?
  • is penal populism inevitable?

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抄録

本稿はニュージーランドにおいて生じたpenal populismと,当国がその影響に対してなぜ脆かったのか,その理由を検討するものである.この一連の出来事には,社会統制のシステム,現行の政治プロセスに対する信任の失墜,専門的知識に対する信頼の欠如,犯罪被害者の権利擁護活動,地元メディアに対する規制緩和,などが要因として関わっている.ただし,カナダという例があるように,penal populismは回避不可能というわけではない.また,社会がpenal populismの只中にある場合であっても,このポピュリズムは限定的な影響に留まるといえる.というのは,ニュージーランドにおける近年の動向として,高水準の拘禁刑の執行が,他の公共事業のマネジメントに支障をおよぼすようになり,penal populismの正当性が失われ始めているのである.さらに,このポピュリズムの影響力も減退し始めているのである.

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