2050年の日本 : フィリピーナの夢をめぐる人類学的想像力(第5回日本文化人類学会賞受賞記念論文)

書誌事項

タイトル別名
  • Japan in 2050 : An Anthropological Imagination of Japan's Future through the Dreams of Filipina Migrants(JASCA Award Lecture 2010)
  • 第5回日本文化人類学会賞受賞記念論文 2050年の日本--フィリピーナの夢をめぐる人類学的想像力
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抄録

2050年の日本はどのような社会だろうか。現在の少子高齢化傾向が続くと、日本の人口は2050年までに2009年現在の1億2,751万人から9,100万人程度まで減少すると予測されている。また65歳以上の高齢者人口が占める割合は2055年には40%を越えるという。これは人類がかつて経験したことのないようなウルトラ高齢社会の到来を意味する。こうした人口構造の変化のなかで、日本は現在の経済力を維持するだけでも大量の労働力を海外から「輸入」する必要があり、その結果2050年には1,000万人の移民(2008年末の外国人登録者数は約222万人)をかかえる国家になっているとする予測がある。これは日本が多民族・多文化国家に向かうシナリオである。この論文では、2050年の日本に向けて、人の移動という観点から、日本版の多文化主義とも言われる「多文化共生」について批判的に論じた後で、フィリピーナの夢をめぐって想像力を働かせつつ、人権や市民権について考察を加える。さらに、草の根的に現れてきている「新しい公共」に人類学を結びつけることを通して、日本における公共人類学の構築を提案する。そうしながら、未来に向けた歴史人類学を構想する。

収録刊行物

  • 文化人類学

    文化人類学 75 (3), 327-346, 2010

    日本文化人類学会

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