スポーツの立場から

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抄録

<p> 日本のスポーツは、近代体育の中で発展してきた。したがって、現状においても体育(教育)として発展してきた功罪と課題を背負っている。ヨーロッパ(イギリス)産まれの近代スポーツに対する解釈では、1968年の「スポーツ宣言(Declaration on Sport)」、1975年のヨーロッパ「みんなのスポーツ憲章(Charter of Sport for All)」に示されるように、スポーツをプレイとして規定した上で、その行使は人間の基本的権利であるとし、その社会的効果、効用を記した。これに対して、日本のように公教育の必要性から体育の中でスポーツを扱うと、制度的には義務としてのスポーツが立ち現われる。また、教育制度(学校)や経済制度(企業)に長らく保護されたアマチュア・スポーツの歴史は、その範囲を超えた社会の中での自由なスポーツ需要の高まりや質的変化に鈍感にならざるをえないような影響を与えている。昨今の日本スポーツ界における暴力や賭博等の倫理的・社会的な諸問題が生まれる歴史的、構造的な背景を探る必要がある。今回のユネスコ憲章を実現していく展望への切り口としては、2011年に制定された「スポーツ宣言日本~21世紀におけるスポーツの使命~」(日本体育協会・日本オリンピック委員会)における「スポーツは、自発的な運動の楽しみを基調とする人類共通の文化」であり、「この文化的特性が十分に尊重されるとき、個人的にも社会的にもその豊かな意義と価値を望むことができる」という文言に注目しておきたい。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680781159680
  • NII論文ID
    130005245722
  • DOI
    10.20693/jspehss.67.8_2
  • ISSN
    24241946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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