「オーストラリアの長い沈黙」ののち : 歴史とアボリジニのエイジェンシー(<特集>先住民と<国民の歴史>)

書誌事項

タイトル別名
  • After the "Great Australian Silence" : Australian History and Aboriginal People(<Special Theme>Indigenous Peoples and the History of the Nation)
  • 「オーストラリアの長い沈黙」ののち--歴史とアボリジニのエイジェンシー
  • オーストラリア ノ ナガイ チンモク ノ ノチ レキシ ト アボリジニ ノ エイジェンシー

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説明

国家にとって過去の、特にその暴力の表象は、歴史についての語りの鍵となるものである。国家の成立にはいずれの場合も何らかの暴力がともなう。オーストラリアは歴史が新しく、先住民であるアボリジニに対する暴力の記憶も新しいだけに、過去についての表象は国家にとって特に大きな問題となってきた。この国では、アボリジニは、入植が始まってから長い間、歴史から排除されてきた。彼らが国家の歴史に登場するのは、ほんの50年ほど前のことにすぎない。それ以降、アボリジニとの「負の歴史」をオーストラリア国家がどのように扱うかについての議論が続けられてきた。本論では、アボリジニによる歴史の経験をとりあげ、彼らが国家的な主体を構築する中で発動された彼らのエイジェンシーに注目する。オーストラリア大陸北部地域のアボリジニは、20世紀初めからのキリスト教ミッションでの教育と生活をつうじて、どのような経験をしたのだろうか。国家と相関する彼らの歴史的経験として、キリスト教ミッション、戦争、土地権運動をとりあげ、アボリジニにとって、国家と交錯する歴史的経験とはなにを意味することなのかを考える。

収録刊行物

  • 文化人類学

    文化人類学 73 (3), 400-418, 2008

    日本文化人類学会

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