菩提心について : 特に『涅槃経』を中心として

書誌事項

タイトル別名
  • A study on the bodhicitta mainly from "Mahaparinirvana-sutra"
  • ボダイシン ニ ツイテ トクニ ネハンギョウ オ チュウシン ト シテ

この論文をさがす

説明

本稿は真言密教の菩提心思想が、どのような過程を経て成立してきたかを論ずる研究である。菩提心思想のうち、四種心思想は如来蔵思想を説く経論に求められることは既に指摘されている。これら如来蔵思想が説かれている経論の先駆の経である『涅槃経』(四十巻本)をみることによって、如来蔵思想を説く経論における菩提心の意味が明らかになると考える。『涅槃経』(四十巻本)に於いては、『涅槃経』自体の成立の問題(前十巻と後三十巻における)があり、その中で(1)菩提心、(2)十二因縁、(3)正因、縁因を中心にみた。結論を述べるならば『涅槃経』の後三十巻に於ては、仏性は正因であり、常である。菩提心は縁縁であり、心であり、無常であると明確に区別されている。しかし『仏性論』では菩提心は加行因とされ、仏性の一つの因である。すなわち仏性の一つの特質として説かれている。また『涅槃経』の後三十巻で説かれる十二因縁は、仏性という因であり、特異な解釈がなされている。

収録刊行物

  • 智山学報

    智山学報 37 (0), 39-52, 1988

    智山勧学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ