アーニョロ・ガッディによるサンタ・クローチェ教会主礼拝堂内の空間演出について

書誌事項

タイトル別名
  • The Space Performance Created by Agnolo Gaddi in the Basilica of Santa Croce
  • アーニョロ・ガッディによるサンタ・クローチェ教会主礼拝堂内の空間演出について : 壁画に用いられた工芸的装飾技法と堂内に射す陽光の関係から
  • アーニョロ ・ ガッディ ニ ヨル サンタ ・ クローチェ キョウカイシュ レイハイドウナイ ノ クウカン エンシュツ ニ ツイテ : ヘキガ ニ モチイラレタ コウゲイテキ ソウショク ギホウ ト ドウナイ ニ サス ヨウコウ ノ カンケイ カラ
  • ―壁画に用いられた工芸的装飾技法と堂内に射す陽光の関係から―
  • The Study of the Decorative Art Techniques in Gaddi’s Fresco and Its Relationship with the Sunlight in the Chapel

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抄録

フィレンツェのサンタ・クローチェ教会主礼拝堂内に描かれた壁画『聖十字架物語』には,金属箔が贅沢に使われた工芸的装飾技法の痕跡が至るところに確認できる。壁画の誕生から600年あまりが過ぎた現在では,その大部分が剥落や黒変による劣化で,当時の姿を目にすることはできない。同壁画に導入されたこの技法は,ただ単に画題の原典であるヤコブス・デ・ウォラギネによる「聖十字架伝」のサイクルに基づく,描写対象の神的人格のための表現や描写モチーフのメタリックな表現にしたがっただけのものではない。作者であるアーニョロ・ガッディが,堂内を金属箔による神聖なる光の空間に演出するために,同技法を用いた画面を効果的に配した可能性が考えられる。本研究ではまず,工芸的装飾技法の復元を通して金属箔の光の効果を実証的に明らかにした。次に,礼拝堂内に射す陽光と壁画内の同技法の分布から,アーニョロによる礼拝堂内の空間演出について考察した。

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