コンプリヘンシブ改革期のイギリスにおける学級編成問題の研究 : ストリーミングから混合能力学級への移行問題を中心に

書誌事項

タイトル別名
  • A study of the class organization problem in England of the comprehensive reform term : Focusing on movement from streaming to mixed ability classes
  • コンプリヘンシブ カイカクキ ノ イギリス ニ オケル ガッキュウ ヘンセイ モンダイ ノ ケンキュウ ストリーミング カラ コンゴウ ノウリョク ガッキュウ エノ イコウ モンダイ オ チュウシン ニ

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抄録

本稿は,イギリスにおいて1960年代から70年代にかけて進んだストリーミングの廃止から混合能力学級導入への経緯を考察するものである。1960年代に入るまでの約30年間,イギリスでは子どもたちを能力別に分類するストリーミングと呼ばれる集団編成方法が一般的な学級編成方法であった。この方法は1950年代後半になると,その拠り所であった知能指数理論への批判を契機に廃止の方向へと動いていく。ノン・ストリーミング化と呼ばれるこの動きは,1960年代に進行していき,1970年代には混合能力学級編成がストリーミングに代わる学級編成形態として広がっていった。こうした一連の動向で問われたのは,表面的には学級編成方法の問題,すなわちどのように子どもたちをグループ化するかという問題にみえる。しかし,実際にそこで問われたこととは,学級編成の問題というよりは,むしろ教授・指導方法の問題であった。なぜなら,ストリーミングの廃止は混合能力学級の導入と同時に,ストリーミングを前提にして行われていた当時の指導法,すなわち一斉教授方法の問い直しを要求するものでもあったからである。本稿は,この点に注目して能力別学級から混合能力学級への一連の動向を検討し,当時のイギリスの中等学校現場において問題となっていたことは,学級編成方法の変更ではなく,子どもの個に応じる新しい教授・指導方法の開発にあったことを示すものである。

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