ポストモダン以後の芸術教育の実践理論の地平 試論

  • 笠原 広一
    京都造形芸術大学・芸術教育研究センターこども芸術大学

書誌事項

タイトル別名
  • A Study of a Practice Theory of Post-postmodern Art Education
  • ポストモダン イゴ ノ ゲイジュツ キョウイク ノ ジッセン リロン ノ チヘイ シロン

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抄録

厳しい今日の社会状況の中で人々がより良い生を生きられる方法を芸術教育の実践理論として再考した。現代社会の問題背景をモダニズムに根ざした価値体系や普遍性がポストモダニズムによって批判されながらも,それに代わる有効な実践理論が見いだせず,様々な領域において実際にはモダニズムの問題点を引き続き再生産している状況があると考える。そこで本論はあらためてモダニズム批判としてのポストモダニズムの成果と,モダニズムの成果とを継承する筋道を描き,ポストモダン以後の社会状況の中での芸術教育の実践理論を検討した。その結果,批判的理性をもとにした相互コミュニケーションによって新しい価値基準をローカルな協同性の中で共に創造していく芸術教育の実践理論が浮かび上がった。こうしたコミュニケーションは表現ジャンルを越え,人々の感性に根ざした差異や多様性を包含し,コミュニケーション的行為によって社会領域の実践につながる。参加する人々を相互に共愉と悦びでつなぐ互恵性も持っている。そうした実践が資本主義的経済合理性に対するオルタナティヴとして実践されること。そこにポストモダン以後の芸術教育の役割を結論づけた。

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