状態空間モデルを用いた大型水槽における超音波テレメトリーによる魚の遊泳軌跡の推定

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  • State-space Model for Estimating Three-Dimensional Fish Trajectories Based on Acoustic Telemetry in a Large Tank

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抄録

状態空間モデルであるカルマンフィルタの適用で,大型水槽(600 m3)における超音波テレメトリーで計測した魚の3 次元位置を推定した。超音波発信機を装着した3 個体のマダイ(63,75,84 kHz)を4 つのハイドロホンによって同時追跡した。4 つのハイドロホンに到達する送信信号の時間差に基づき計算される双曲面の交点によって標識魚の位置を推定した。この3 次元超音波テレメトリーシステムの性能テストでは,最も結果の良かった63 kHz の超音波発信機で,確度が0.69 m,精度が0.02‒0.04 m で推定できた。確度,精度の結果はともに水平成分よりも鉛直成分が低く,精度に関しては超音波発信機の発振周波数の増加とともに低くなった。これらの結果は,発振周波数に対する十分なサンプリングレートに改善することで精度の向上が見込まれる可能性を示した。双曲面交点より推定された値には誤差が含まれるため,実験個体の推定位置が水槽域外に出ることもあった。そこでカルマンフィルタによる状態空間モデルで推定位置を補正した。その結果,3 個体の遊泳軌跡の水平成分は水槽域内に入った。本研究では,誤差の補正が必要なことの多い超音波テレメトリーによる位置推定に状態空間モデルを適用することで,実際の遊泳軌跡に近似させることが可能であることを示した。

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