メーキング・オブ・テキストの現場から

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タイトル別名
  • The Viewpoint of a Textbook Editor
  • メーキング オブ テキスト ノ ゲンバ カラ

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説明

この報告は、これまでさまざまな教科書を編集してきた編集者の視点から自戒をこめて率直にまとめたものである。当初、「売れるテキスト・売れないテキスト」という報告依頼があったが、ここでそれを論ずるのは無理がある。ここでは、筆者が編集者として社会学テキストを製作するにあたって、どのような点を心掛けてきたのかを中心に話を進める。これまで編集者として、教科書製作にあたって、つぎのような点にこだわってきたように思う。第1は、執筆者への問いかけ(というより「挑発」)である「これまでのテキストのどこに問題があり、どこが物足りないですか?講義でどんなことを工夫し苦労なさっていますか?」が、その「挑発」の内容である。ここを出発点にして、「より良いテキスト」の製作が始まる。テキストの場合、単独執筆かそれとも編者による編集ものか、さらに共著かによっていろいろな工夫が必要になる。また、タイトルのネーミングなども重要だ。第2に、読者である学生さんたちへのつぎのような問いかけも重要である。「この内容・文章に興味をもてますか?そもそも理解できますか?この分量・値段・装丁で不都合ないですか?」。学生の目線に立った編集は、学生がクールでドライになった時代には特に求められる課題である。第3の問いかけは、会社にむかってのものだ。「これだけの時間・コストをかけるとパワーのある良質のテキストができるがそれを会社は受け止めてくれますか?」という問いかけである。コストパフォーマンスを強調する声に応えつつ、「思い込み」で良い本を作ろうとする編集者の苦労は大きい。最後に、自分自身にとっての問いかけもある。気力と体力がどこまで続くかという問題だ。それでも、今後も体力の続く限り本をつくっていくだろう。そのためにも、先生方には、今後もキツーイ「挑発」をし続けていきたいと思う。

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