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- 木下 衆
- 日本学術振興会
書誌事項
- タイトル別名
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- "Approaching" the "Life" of a Dementia Patient : Sociological Analysis of Interactions between Family Carers and the Patient
- 「 ニンチショウ 」 カンジャ ノ 「 ジンセイ 」 ト 「 ハタラキカケ 」 : アル カイゴカゾク ノ ジッセン ノ イリョウ シャカイガクテキ ブンセキ
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抄録
「認知症」という医学的なラベルが付与されることで、患者の周囲の人びとはどう振る舞うようになり、また患者本人の行為はどう意味づけられるのか?現在の日本は「新しい認知症ケア」時代にある。「新しい認知症ケア」とは、患者とのコミュニケーションを重視する介護観を指す。この介護観のもと、介護者達は患者への「道徳的配慮」を常に行い、何らかの反応を期待して「はたらきかけ」をすることになると、指摘されていた(井口2007)。そこで本稿は、「認知症」を患うLと、その家族とのやり取りを集中的に分析する。Lの家族は、患者への「はたらきかけ」を強く志向している点で、「新しい認知症ケア」時代において特徴的な事例だと考えられるからだ。本稿では、Lに対する家族の「はたらきかけ」に、ある種の基準が存在することを指摘する。家族は、彼女が認知症を発症する以前の生活の様子を基準に、「はたらきかけ」をする。この基準を、老年精神科医の小澤勲(2003)に準え、「人生」と呼ぼう。しかし認知症の特徴である「記憶障害」「病態失認」ゆえに、患者本人に「人生」を尋ねることは難しい。そのために、「介護者が自分たちの知識を総動員しなければならない」という事態が生じる。相手がどんな過去を背負い、何を好み、何を望んでいるか、そういった患者の「人生」は、人びとの「あいだ」(西阪1997)でなされる相互行為(はたらきかけ)の中で発見され、再構築されている。
収録刊行物
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- フォーラム現代社会学
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フォーラム現代社会学 13 (0), 45-57, 2014
関西社会学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680922434304
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- NII論文ID
- 110009823193
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- NII書誌ID
- AA11666921
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- ISSN
- 24239518
- 13474057
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- NDL書誌ID
- 025622875
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDL
- CiNii Articles
- KAKEN
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可