昭和戦前期の歴史教育における「学力測定」と「教育評価」の展開 : 丸山良二と宇津木與平の国史検査の分析をもとに

書誌事項

タイトル別名
  • The Development of Academic Assessments in History Education during the Prewar Period of Showa : Based on the Analysis of History Testing by Ryoji Maruyama and Yohei Utsuki
  • ショウワセン ゼンキ ノ レキシ キョウイク ニ オケル 「 ガクリョク ソクテイ 」 ト 「 キョウイク ヒョウカ 」 ノ テンカイ : マルヤマ リョウ ニ ト ウズ モクヨヘイ ノ コクシ ケンサ ノ ブンセキ オ モト ニ

この論文をさがす

説明

本論文の目的は,昭和戦前期の歴史教育における「学力測定」と「教育評価」の展開を丸山良二と宇津木與平によって行われた国史検査の分析をもとにして明らかにすることである。1920年代から1930年代にかけて,田中寛一らを中心にして日本に導入されたアメリカの教育測定運動の成果は従来の試験方法を批判して,教育活動の結果を客観的,科学的に測定することの必要性を強調した。それは,これまでの主観的な考査方法や人間の捉え方を批判しながら,より客観的で数量的な測定を目指したものであり,教育計画や授業改善に,より合理的な根拠を与えようとするものであった。本論文の結論は次のようである。第1に,アメリカでの教育測定運動の影響を受けて,日本の歴史教育でも「学力測定」や「教育評価」をめぐる議論が活発に行われていたことである。それは,児童に生じた進歩をどのように測るのかという問いに応えるべく試験方法が改善された結果であった。第2に,教育心理学の研究成果を取り入れ,標準偏差を指標にした国史検査の標準化が試行されていたことである。それには,児童が習得した学習成果を調査する必要があった。第3に,国史検査の結果を踏まえ,国史授業の改善方法が具体的に示されていたことである。標準化された国史検査は,丸山と宇津木によって群馬県の尋常小学校・高等小学校・中学校・高等女学校で実施され,教師と児童の歴史教材に対する理解度のずれが明らかとなった。

収録刊行物

  • 社会科研究

    社会科研究 81 (0), 15-26, 2014

    全国社会科教育学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ