知識人の社会事業としての聖書研究 : 内村鑑三の職責意識と普遍主義をめぐって

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書誌事項

タイトル別名
  • Bible Study as a Social Work of an Intellectual : The Specialty and Universalism of Uchimura Kanzo
  • チシキジン ノ シャカイ ジギョウ ト シテ ノ セイショ ケンキュウ : ウチムラ カンゾウ ノ ショクセキ イシキ ト フヘン シュギ オ メグッテ

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説明

本稿は、内村鑑三(一八六一-一九三〇)を日本思想史上の独自の境位においているその聖書研究を、知識人の専門性あるいは職責意識という観点から理解しようと試みる。すなわち『聖書』を用いて世俗社会における普遍的諸価値の確立に貢献したり、社会の変革に奉仕したりする、という自覚的な営みに注目する。本稿では、そうした内村の『聖書』を全面に出した形での活動を、彼の普遍主義の社会的展開かつ、一知識人のリアリズムの発露として解明することを試みる。具体的には、(1)内村が『聖書』の言葉から一民族の物語を超えた「個人的なるが故にまた普遍的である」という普遍への見通しを得たこと、(2)自由、独立、正義、平和といった普遍的諸価値の世俗世界における実現に際して、『聖書』が大きな貢献を果たすといった指針をもっていたこと、(3)聖書研究も一種の「社会事業」であるといった提唱の具体的な内実や、それを支える経験、将来的見通しなどが考察される。

収録刊行物

  • 宗教研究

    宗教研究 88 (3), 545-570, 2014

    日本宗教学会

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