宗教学の成立と宗教批判 : 富永仲基・ヒューム・ニーチェ(<特集>宗教批判の諸相)

書誌事項

タイトル別名
  • The Formation of Religious Studies and the Criticism against Religions(<Special Issue>Criticism of Religion)
  • 宗教学の成立と宗教批判--富永仲基・ヒューム・ニーチェ
  • シュウキョウガク ノ セイリツ ト シュウキョウ ヒハン トミナガ チュウキ ヒューム ニーチェ

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説明

宗教学は近代文明に対するオルタナティブの探究を基本的なモチーフとして抱え込んでいた。宗教は理性の限界や近代社会の抑圧性に悩む人々に、ある種の魅惑を帯びたものとして現れた。だが、他方で宗教研究は宗教批判の中から生まれてきたものでもある。宗教の抑圧性を見抜くことが宗教学の形成と展開の知的動機の一部ともなっている。宗教学は宗教批判と近代批判をともに含み込むことによって先鋭な知の地平を切り開くことができたと考えられる。本稿では宗教批判と近代批判とを結びつけるような視点をもった先駆的思想家として、富永仲基、ディヴィッド・ヒューム、フリードリッヒ・ニーチェを取りあげる。彼らの宗教批判は、いずれも人類史における宗教の重要性を痛切に認識するが故にこそなされている。宗教が人間性に奥深い動因をもち、容易に克服しがたいものであると考えられており、人知の進歩により宗教は衰退してしまうと予見されているわけではない。むしろ理性の限界が強く意識されており、だからこそ宗教は人間性に深く根を張っていると考えられている。宗教を深く理解する必要があるのはまさにその故なのだ。

収録刊行物

  • 宗教研究

    宗教研究 82 (2), 223-245, 2008

    日本宗教学会

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