近世仏教堕落論の近代的形成 : 記憶と忘却の明治仏教をめぐる一考察

書誌事項

タイトル別名
  • The Modern Formation of the Theory of Buddhist Decadence in the Edo Period : Memory, Forgetting, and Meiji Buddhism
  • キンセイ ブッキョウ ダラクロン ノ キンダイテキ ケイセイ キオク ト ボウキャク ノ メイジ ブッキョウ オ メグル イチ コウサツ

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抄録

「近世仏教堕落論」とは、江戸時代において、僧侶が俗人より淫蕩な生活を送って、戒律を守らない、というものである。それに加えて、仏教制度が江戸幕府との密接な関係のゆえに、その自由を失っていた、つまり、この時代における仏教は他の時代よりも堕落したものであるという近世仏教の語り方である。このような近世仏教像は国史学者の辻善之助(一八七七-一九五五)の仏教史研究によって形成されたとされることが多いが、実は辻がその主張をする以前にも、そのイメージが既に「常識」であった。これらを念頭に置きながら、本論文は、特に、明治初期の「新仏教運動」より、堕落論がより体系化されたかたちで見出される、辻善之助『日本仏教史之研究続編』(一九三一年)の出版に至る時期に焦点を当て、「近世仏教堕落論」の形成とその歴史的意義を検討するものである。

収録刊行物

  • 宗教研究

    宗教研究 81 (3), 581-601, 2007

    日本宗教学会

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