シャリーアにおける飲酒の是非

書誌事項

タイトル別名
  • For and against Drinking in the Sharī‘a
  • シャリーアにおける飲酒の是非 : イスラーム的規範の多元性
  • シャリーア ニ オケル インシュ ノ ゼヒ : イスラームテキ キハン ノ タゲンセイ
  • Pluralism and the Islamic Norm
  • イスラーム的規範の多元性

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説明

<p>イスラームにおける酒の禁止は日本においてもよく知られている。事実、何らかのイスラーム化政策を必要とする現代のムスリム国家にとっては、酒の禁止は最もわかりやすくかつ簡単な方法である。しかし、逆に言えば多くのムスリム国家では酒が消費されており、製造や輸出がさかんな国まである。それはイスラームの戒律が守られていないというより、シャリーア(イスラーム法)自体が不統一だからである。</p><p>本稿では次のことを明らかにする。イスラームの聖典クルアーンはワインの飲用のみを禁ずるが、その沿革および禁止の性質は不明確である。酒の禁止は、そこにイスラームの理想を求めた伝承主義運動の影響を通じてイスラーム法学の多数説となったが、ワイン以外の酒は酩酊しない限度で飲用を認めるハナフィー派の学説もシャリーアを構成していた。また、いずれの立場も飲酒罪に法定の処罰を科すことに対して現代のイスラーム主義者ほど積極的とはいえない。</p>

収録刊行物

  • 宗教研究

    宗教研究 90 (2), 131-155, 2016

    日本宗教学会

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