抑うつ者および高不安者のネガティブ情報に対する潜在記憶

  • 坂元 桂
    お茶の水女子大学大学院人間文化研究科:日本学術振興会

書誌事項

タイトル別名
  • Implicit memory bias for negative information in depression and anxiety
  • ヨクウツシャ オヨビ コウ フアンシャ ノ ネガティブ ジョウホウ ニ タイス

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説明

本研究は, 抑うつ者および高不安者が, ネガティブ情報に対する潜在記憶バイアスを示すかどうか, すなわち, ポジティブ情報よりもネガティブ情報について, 潜在記憶が優れているかどうかを調べた.この問題を検討してきた先行研究には, 1)刺激を学習した直後に潜在記憶課題が行われているために潜在記憶課題の結果に顕在記憶が影響を及ぼした可能性がある, 2)刺激を学習する際の処理水準が深すぎる, という2つの方法的問題が見られた.そこで, 本研究では, 潜在記憶課題の成績を学習直後と2ヶ月後の2回にわたり測定し, 学習課題として処理水準の浅い課題(単語非単語弁別課題)と処理水準の深い課題(自己照合判断課題)の2課題を用いて実験を行った.結果は以下のとおりであった.1)抑うつ者のネガティブ情報に対する潜在記憶バイアスは見られなかった.2)不安者のネガティブ情報に対する2ヶ月後の潜在記憶バイアスが見られた.抑うつ者と不安者のそれぞれについて, 各症状の維持に関わるプロセスが議論された.

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