Voacanga africana含有生物活性新規インドールアルカロイドの探索と不斉全合成研究
書誌事項
- タイトル別名
-
- Chemical Studies on Bioactive Novel Indole Alkaloids in Voacanga africana
説明
<p> キョウチクトウ科植物Voacanga africanaは西アフリカに広く自生する樹木であり、下痢や感染症に対する民間伝承薬として用いられている。さらに、最近では、「呪術師の植物」と称し、違法ドラッグとして流通している。しかし、これらの生物活性本体は解明されていない1)。そこで、我々は、生物活性アルカロイドおよび新規アルカロイドの探索を目的としたV. africana根皮の成分探索、並びに本植物に含有されるIboga型アルカロイド類の不斉全合成研究を行なった。</p><p>1. キョウチクトウ科植物Voacanga africanaの成分探索研究</p><p> V. africana根皮のMeOHエキスをアルカロイド処理して得た粗塩基分画70.1 gを各種クロマトグラフィーを用いて分離・精製し、新規3種2)を含む9種の二量体アルカロイドと、新規7種3,4)を含む19種の単量体アルカロイド5)を単離した。新規アルカロイドの構造は、1D-NMR、2D-NMR、UV、ESI-MSなどの各種スペクトルデータを詳細に解析することで決定した(Fig.1)。</p><p> Voacandimine A (1) 2)と命名した新規bisindoleアルカロイドは、分子式C41H44N4O5を有し、b-anilinoacrylateに特徴的なUV吸収を与えた。NMRにおいて15位オキシメチン由来のシグナルが観測されたことから、tetrahydrofuran環を有するDeoxoapodineユニットの存在が示唆された。しかし、3位14位のエタンbridgeの一組がそれぞれアミナールメチン炭素、メチン炭素として観測され、カルボン酸メチル基の代わりにメチレン基の存在が示唆された。また、フェノール性水酸基の存在が明らかとなった。さらに、HMBC相関から、12'位水酸基と22'位メチレン炭素の存在を確認し、unit Aとunit BがNa', C-2', C-16', C-22', C-14, C-3で構成されるピペリジン環により結合していることが明らかとなった。このような結合様式はAspidosperma-Aspidosperma型bisindoleアルカロイドでは初めてである。</p><p> ピペリジン環部の相対立体配置については、NOE相関と、3位、14位プロトン間の結合定数により推定した。また、絶対配置については、CDスペクトルにおいて、320 nm付近で絶対配置既知で同様の骨格を有するTabersonineと同じく負のコットン効果を示したことから、7位をR配置と推定した。さらに剛直な環構造を有することから21, 20, 15位の絶対配置は一義的に決めることができる。以上より、Voacandimine A (1)を上記のピペリジン環を含む13環性のbisindoleと決定した。</p><p> 一方で、単量体アルカロイドとして、Iboga型インドールアルカロイドを主に単離した(Fig.1)。新規アルカロイドVoacangalactone (11) 4)は、1H-NMRにおいてカルボン酸メチルのシグナルが観測されず、また13C-NMRにおいてδ88.0に酸素に結合した四級炭素のシグナルが観測されたことから、Voacangine (4)の16位カルボン酸残基が20位炭素と結合し、ラクトン環を形成したユニークな構造を有すると推定した。さらに、Iboga型インドールアルカロイドの活性評価を行なった結果、カンナビノイドCB1受容体アンタゴニスト活性(8, 9)3)、あるいはカプサイシン受容体TRPV1アンタゴニスト活性(4, 5, 6, 7)5)やTRPM8アンタゴニスト活性(4)6)を</p><p>(View PDFfor the rest of the abstract.)</p>
収録刊行物
-
- 天然有機化合物討論会講演要旨集
-
天然有機化合物討論会講演要旨集 55 (0), Oral21-, 2013
天然有機化合物討論会実行委員会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282681056194432
-
- NII論文ID
- 130006470665
-
- ISSN
- 24331856
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可