「生れる」世代組と「消える」年齢組 : 南部エチオピアのオロモ語系社会ボラナの二つの年齢体系

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship between Two Age Systems : Generation-Set and Age-Set among the Borana-Oromo
  • ウマレル セダイグミ ト キエル ネンレイグミ ナンブ エチオピア ノ オロモゴケイ シャカイ ボラナ ノ フタツ ノ ネンレイ タイケイ

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抄録

南部エチオピアから北部ケニアにかけて居住している、オロモ語系牧畜民社会のボラナには、二つの年齢体系がある。一つは、世代組(luba)と階梯の複合した「ガダ(gadaa)」体系であり、他の一つは、年齢組の「ハリヤ(hariya)」体系である。先行研究は、世代組のリクルートの規則により時間の経過とともに世代組の成員の年齢格差が広がり、それによって機能不全が発生するという、ガダ体系の「構造的問題」を指摘し、その前提にもとづき、ハリヤ体系がガダ体系を補完する二次規則と位置づけてきた。しかし、人類学者によって構築されたこのようなモデルにおいて、当のボラナの人々がいかに年齢体系について語るのかは、現在まで等閑にされている。本稿では、人類学者の眼には「構造的問題」として映るガダ体系のあり方を、ボラナの人々がどのように表現しているのかに焦点を当て、二つの年齢体系が概念的に相反する関係にあり、それによって両者が互いの存在を際立たせていることを指摘する。最終的には、人類学者が問題とする「構造的問題」とは、それこそがガダ体系を支える原理であることを明らかにする。

収録刊行物

  • 民族學研究

    民族學研究 66 (2), 157-177, 2001

    日本文化人類学会

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