先産業社会における空間配置と経済効率原理 : 古典期マヤ社会についての中心地分析

書誌事項

タイトル別名
  • Settlement Patterns and Economic Rationality in a Pre-Industrial Society : Central-Place Analysis in Classic Maya Society
  • センサンギョウ シャカイ ニ オケル クウカン ハイチ ト ケイザイ コウリツ

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説明

本稿の目的は,古典期マヤ社会に中心地論を適用し,市場経済の未発達な先産業社会においても,経費の極小化という経済合理性が,集落等の空間配置に大きな影響を与え得ることを示すことである。そのため,ホンジュラス,ラ・エントラーダ地域における調査から得られた古典期マヤ・センターに関するデータの分析を通し,中心地論の理論的モデルに近い経済空間構造が存在したことを論ずる。食料のような嵩張る生活必需品を政治組織の財政基盤としながら,効率的な輸送手段を持たなかった古典期マヤ社会では,移動と輸送におけるコストを極小化することが非常に重要であり,規則的な中心地分布は,その点で最も合理的であったと考えられる。また,人口密度やセンターの規模の違いにもかかわらず,各地のマヤ・センターの間隔がほぼ一貫していることは,各センターの領域が人力による食料等の移動距離により強く規定されていた可能性を示唆する。

収録刊行物

  • 民族學研究

    民族學研究 61 (3), 370-392, 1996

    日本文化人類学会

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