還元剤処理による高収率クラフトパルプの製造 : 水素化ホウ素ナトリウムによる処理条件(会員研究発表講演)

説明

クラフト法によるパルプ化では,蒸解経過中に木材構成多糖類中のヘミセルロースの多くが失われる。このヘミセルロースの損失を出来るだけ少なくすることは,生成パルプの収率を向上させるために最も大切なことである。このヘミセルロースの損失は,溶出による損失,ピーリング反応による末端基からの崩解,アルカリ性加水分解による低分子化と,それにともなう溶出および崩解による損失が考えられる。このピーリング反応による末端基からの崩解による損失が,アルカリ法によるヘミセルロース損失の最も主要な原因と考えられ,この崩解を阻止するため,還元剤を添加し蒸解を行ない,末端基を還元安定化し,収率を増加させる報告がある。筆者も還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを添加した場合のヘミセルロースの蒸解中での安定化について報告して来た。水素化ホウ素ナトリウムはアルカリ溶液中において安定であり,単にアルカリ性の蒸解液に添加し蒸解するだけで高い効果を示すので,これまでの報告では,単に水素化ホウ素ナトリウムを添加し,蒸解を行なった場合,どれだけ効果があったかとの報告にとどまっている。然し実際には水素化ホウ素ナトリウムは高温においてかなり不安定であるので,添加した量の一部分だけが有効に作用しているだけと考えられる。また水素化ホウ素ナトリウムは還元剤としてかなり価格が高いことからも,これの有効な使用条件を決定することは重要なことである。このため,この報告では,水素化ホウ素ナトリウムの実際に還元に使用された量と,収率との関係を明らかにし,最も有効な使用量を決定する目的で,還元処理と蒸解を分離した2段のパルプ法により検討した。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282681198489728
  • NII論文ID
    110009707689
  • DOI
    10.24494/jfshc.15.0_160
  • ISSN
    24330825
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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