段ボールシート製造用スタイン・ホール型澱粉接着剤(SH型接着剤)とノーキャリヤー型澱粉接着剤(NC型接着剤)の性状について

書誌事項

タイトル別名
  • Several Physical Properties of Stein-Hall Type and No Carrier Type Corrugating Starch Adhesives
  • 段ボールシート製造用スタイン・ホール型澱粉接着剤(SH型接着剤)とノーキャリヤー型澱粉接着剤(NC型接着剤)の物性について
  • ダン ボールシート セイゾウヨウ スタイン ホールガタ デンプン セッチャクザイ SHガタ セッチャクザイ ト ノーキャリヤーガタ デンプン セッチャクザイ NCガタ セッチャクザイ ノ ブッセイ ニ ツイテ

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抄録

段ボールシート製造用Stein-Hall(SH)型トウモロコシ澱粉接着剤とNo Carrier(NC)型同接着剤の物性について検討した.SH型接着剤はキャリヤー部とメイン部澱粉により構成され,NC型接着剤は少し膨潤した均質な澱粉粒の懸濁液から構成されていると報告されている.澱粉懸濁液とNC型接着剤とSH型接着剤(無水換算澱粉濃度21.6%)中の澱粉粒径分布の比較において,NC型接着剤では粒径29 μmから101.1 μm辺りの少し膨潤した粒が未化工トウモロコシ澱粉懸濁液に比べて全澱粉の16%相当存在比率が増加していた.また,SH型接着剤では澱粉懸濁液とモード径が同じで存在比率が高い主ピークと,存在比率が低い(10.5%)粒径44-101 μmのピークとの二つのピークとなった.しかし,両型共に糊化エンタルピーは,苛性ソーダ濃度0.54%から0.94%において差異はなく,苛性ソーダ濃度の増加により同様に減少し,苛性ソーダ濃度0.94%では苛性ソーダ無添加の同一濃度のトウモロコシ澱粉懸濁液と比較して70%に減少した.また,いずれの苛性ソーダ濃度でも糊化完了温度はNC型接着剤の方がSH型よりも高くなった.さまざまな澱粉濃度のNC型接着剤(無水換算14.4-34.4%)と,SH型接着剤(19.2-24.7%)において,40°Cでの同一B型粘度値に対するFC粘度値は,NC型接着剤がSH型に比較して約1/2と低く,糊付けロール上がり性が良好で流動性が高い粘性と思われた.また,40°CでのB型粘度が実用粘度範囲(540-2500 mPa・s)のさまざまな濃度のNC型接着剤では,調製時に溶出する溶解澱粉量は澱粉濃度が1.5倍水(無水換算34.4%)から5倍水(14.4%)に減少するに従って1.2%から19.0%に増加し,接着剤中の澱粉の膨潤度合は澱粉濃度の減少に従って増大し,風乾時体積の2.10倍から5.40倍になり,密度は逆に1.24 g/cm3から1.10 g/cm3へと減少した.さらに,40°Cでの3倍水(無水換算澱粉濃度21.6%)と2倍水(28.7%)のさまざまな粘度のNC型接着剤では,B型粘度が高い接着剤ほど溶解澱粉比率が高くなったが,澱粉粒の膨潤度合はほとんど変わらなかった.これらのことから,一定濃度のNC型接着剤の粘度は,膨潤度合いの違いに因るよりも溶解している澱粉量に左右されていると考えられ,接着剤調製時の高苛性ソーダ濃度での処理時間による仕上がり粘度の調節は,澱粉粒の膨潤程度を変えるというよりも溶出溶解澱粉量を変える調整と考えられた.また,澱粉粒径分布の測定結果から,NC型接着剤の澱粉粒の膨潤はすべての澱粉に均質に生じているのではなく,膨潤が進んだ粒と僅かな粒との混在と考えられ,期待された糊化エンタルピーの減少は,幾つかの苛性ソーダ濃度においてSH型接着剤と比較して差異がなく,SH型接着剤とNC型接着剤とは同様な糊化時の吸熱特性を有していると考えられた.

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