ウイルスフリーのブドウ‘カベルネ•フラン’における果汁成分の経時的変化について

書誌事項

タイトル別名
  • Ripening Changes in Some Constituents of Virus-free ‘Cabernet Franc’ Grape Berries
  • ウイルスフリーのブドウ"カベルネ・フラン"における果汁成分の経時的変化について
  • ウイルス フリー ノ ブドウ カベルネ フラン ニ オケル カジュウ セイブン
  • Ripening Changes in Some Constituents of Virus-free ^|^lsquo;Cabernet Franc^|^rsquo; Grape Berries

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抄録

‘カベネル•フラン’のウイルスフリー樹と汚染樹の果汁成分の経時的変化を, 1982年に, それぞれ4年生の自根樹を用いて調査し, 次の結果を得た.<br>1. 9月下旬, ウイルスフリー樹の果粒は果重2.15g, 果径14.5mm (果房重240g), 汚染樹のそれらは1.80g, 14.0mm (果房重170g) の最大値に達し, ウイルスフリー樹の果粒の方が重かった.<br>2. 汚染樹の果汁糖度は9月上旬12%に達した後, 全く増加が見られなくなった. 一方, ウイルスフリー樹の果汁糖度は9月上旬以降も順調に増加し, 9月下旬18%に達し, 汚染樹のそれを5~6%も上回った.<br>3. 9月30日, 汚染樹のグルコースは5.75%, フラクトースは5.49%であった. 一方, ウイルスフリー樹のグルコースは8.43%, フラクトースは8.96%であって, 汚染樹のそれらを大きく上回った.<br>4. 果汁酸度は9月下旬, 汚染樹の0.90g/100mlに対し, ウイルスフリー樹は0.60g/100mlと低く, 低酸度であった.<br>5. 9月30日, 汚染樹の酒石酸は0.900g/100mlと高く, リンゴ酸は0.388g/100mlであった. 一方, ウイルスフリー樹の酒石酸は0.664g/100ml, リンゴ酸は0.284g/100mlで, 共に汚染樹より低かった.<br>6. 完熟期, ウイルスフリー樹の果汁pHは3.30, 汚染樹のそれは3.20であった.<br>7. 仕込み5か月後の利き酒によると, ウイルスフリーー樹のワインは品種特有のアロマが強いが, 酸味, 渋味がやや不足した. 一方, 汚染樹のワインはアロマが劣るが, 酸味, 渋味は強く, 赤色も濃かった. したがって, 低酸含量となりがちなウイルスフリー樹の場合, 原料果実の収穫, 仕込み時期の選択に問題があるものと思われた.

収録刊行物

  • 園芸学会雑誌

    園芸学会雑誌 52 (1), 16-21, 1983

    一般社団法人 園芸学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (2)*注記

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