湛水処理がリンゴ台木の生長と体内の生理的変化に及ぼす影響

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タイトル別名
  • Effect of Flooding on the Growth and Some Physiological Changes of Young Apple Rootstocks
  • タンスイ ショリ ガ リンゴ ダイギ ノ セイチョウ ト タイナイ ノ セイリ

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抄録

ポット植えのリンゴ台木 M27, M9, M26, M7, MM106, M11, M16 およびマルバカイドウの8種類を供試材料として, 1980年と1981年の生長期間に各々30日間の湛水処理を行い, 各台木の生長と体内の生理的変化を調べることによって, 台木種類間の耐水性程度を比較した。<br>湛水処理は, 全般に台木の新梢生長を抑制したが, その抑制程度は種類によって大きく異なった. 耐水性の最も弱かったM9においては, 湛水処理9~12日ごろから地上部に障害症状が現れると同時に葉のクロロフィル含量も著しく減少した. これに対して, 耐水性の最も強かったマルバカイドウにおいては, 全処理期間を通して何の障害も示さず, 葉のクロロフィル含量もほぼ対照区と同じレベルであった. さらに, 耐水性の弱かった種類では湛水処理によって根の代謝活性と全フェノール含量が著しく低下した. また, M9の根には湛水処理10日から20日にかけて多量のエタノールが蓄積した. 湛水処理は台木の葉の N, P, K, Mg, Ca 含量を大きく減少させ, また, 葉の蒸散抵抗値を上昇させた. 特に, M9, M26, MM106においては湛水処理による蒸散抵抗の上昇が早く, 湛水日数が長びくにつれてその値も著しく高くなった.<br>以上の結果を総合的に判断して, 種類間の耐水性程度をみると, 強い順にマルバカイドウ>M16, M7>M27>M11>MM106>M26>M9 の順になると結論される.

収録刊行物

  • 園芸学会雑誌

    園芸学会雑誌 51 (3), 270-277, 1982

    一般社団法人 園芸学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (11)*注記

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